「Fenderのストラトそっくりなギターが2万円!?」
「Gibsonレスポールカスタム風が、まさかの3万円台…」
ギター好きなら誰もが一度はAliexpressでこの衝撃的な光景を目にし、心を揺さぶられたことがあるはずだ。その激安ギター、本当に使えるのか?それとも、ポチった瞬間に粗大ゴミと化す、ただの罠なのか?
警告だ!生半可な知識でこの沼に手を出すと、確実に火傷する。この記事は、アリエクギターの天国と地獄を徹底的に解剖し、君が”爆益”な一本を手にするか、”爆死”するかの運命を分ける、究極のサバイバルガイドだ。
衝撃の真実!アリエクギターに存在する3つの”正体”
まず理解しろ。Aliexpressで売られている激安ギターは、大きく分けて3つのカテゴリに分類される。君が狙っているのがどれなのか、見極めるのが全ての始まりだ。
1. ブランドロゴまで真似た完全な「コピー品(偽物)」
最も危険で、最も闇が深いのがコレだ。ヘッドに堂々と「Fender」や「Gibson」のロゴを貼り付けた、完全な違法コピー品。海外ではその筋のマニアから「チブソン(Chibson)」などと呼ばれている。これらは日本の税関で没収される可能性が非常に高く、絶対に手を出してはならない。 そもそも品質も劣悪なものがほとんどだ。
2. オリジナルブランドの「中華ギター」
近年、品質が劇的に向上し、世界中のギタリストから注目を集めているのがこのカテゴリだ。
- Grote (グロート)
- Firefly (ファイアフライ)
- Eart (イアート)
これらのブランドは、独自の設計思想と驚異的なコストパフォーマンスを武器に、本家とは違う価値を提供している。アリエクでギターを買うなら、狙うべきは間違いなくこの「中華ギター」ブランドだ。
3. ノーブランドの「ギターキット・パーツ」
ボディとネック、パーツ類がバラバラの状態で届き、自分で組み立てや塗装を行うDIYキット。これはもはや楽器ではなく「工作キット」だ。自分の手でオリジナルのギターを作り上げたいという、上級者向けの選択肢。魔改造の素体としては最高のオモチャになる。
【購入前チェックリスト】地雷を回避し”当たり”個体を引くための掟
では、狙いを定めた中華ギターの中から、どうやって「当たり」個体を見つけるのか?失敗しないための掟を伝授する。
掟1:レビューの”音付き動画”と”詳細写真”を探せ!
「Good!」「Nice guitar!」といったテキストだけのレビューは1ミリも信用するな。我々が見るべきは、購入者が実際にギターを弾いている動画レビューだ。生音やアンプからの出音を確認しろ。さらに、フレットの処理、ネックとボディの接合部、塗装の状態などが鮮明に写っている写真付きレビューを探し出し、隅々までチェックするんだ。
掟2:セラーの評価と”専門性”を見抜け!
ギターのような精密な商品を買う場合、セラー選びが運命を分ける。
- 楽器やギターパーツを専門に扱っているストアから買え。洋服やスマホケースも売っているような”何でも屋”は論外だ。
- ポジティブフィードバックが97%以上、フォロワー数が数千人以上の優良セラーを選ぶのが鉄則。
掟3:商品説明のスペックを鵜呑みにするな!
「アルダーボディ」「エボニー指板」…魅力的な言葉が並んでいても、それを100%信じてはならない。「アルダー”風”のバスウッド」であることは日常茶飯事だ。スペックはあくまで”参考程度”と心構え、ルックスや基本的な構造で判断するのが賢明だ。
覚悟はいいか?アリエクギター購入に伴う”3つの試練”
無事に注文を終えても、本当の戦いはこれからだ。アリエクのギターを手なずけるには、3つの試練を乗り越える必要がある。
試練1:梱包と配送のリスク
ダンボールに緩衝材を少し詰めただけ、というような簡素な梱包で遥々中国から送られてくることも少なくない。ネック折れ、ボディの打痕といった輸送事故のリスクは常に覚悟しておけ。
試練2:“魔改造”が前提のクオリティ
はっきり言って、アリエクのギターは届いたそのままの状態でまともに弾ける代物ではない。
- フレットのバリ取り、すり合わせ
- ナットの溝切り調整、または交換
- オクターブチューニング、弦高調整
- ガリやノイズだらけの電装系の配線やり直し
- 音がこもりがちなピックアップの交換
これらを「自分でできるスキル」がなければ、ただの弾きにくい粗大ゴミになる。アリエクのギターは、購入後に愛情を込めて”育てる”ものなのだ。
試練3:関税と消費税
ギターは高確率で課税対象(商品代金+送料が16,666円以上)になる。忘れた頃に配送業者から「関税・消費税として〇〇円お支払いください」と連絡が来るぞ。本体価格とは別に、10%程度の追加費用を見込んでおくのが必須だ。
まとめ:結論、アリエクのギターは”誰”が買うべきか?
色々言ってきたが、結論はこうだ。
アリエクのギターは、完成品の「楽器」として買うものではない。それは、「無限の可能性を秘めた素材であり、最高のオモチャ」として買うものだ。
【買うべきではない人】
- これからギターを始める初心者
- 届いてすぐに完璧な状態で弾きたい人
- 特定のブランドに強い憧れがある人(貯金して本物を買え!)
【買うべき人(楽しめる人)】
- ギターの改造や調整、DIYが三度の飯より好きな”いじリスト”
- メインでは手を出さないような、多弦ギターや奇抜な変形ギターを安く試してみたいベテラン
- 全てのリスクを笑って受け入れられる、好奇心旺ろしくな人柱精神の持ち主
自分のことをプレイヤーだと思うか?それともビルダーだと思うか?自らのスタイルを問い、覚悟を決めた者だけが、このディープで最高に楽しい沼に足を踏み入れる資格がある。幸運を祈る!
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